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東京小児療育病院
 田中 輝幸先生​

私は2006年からCDKL5の研究を行っています。東京大学・発達医科学教室では独自にCDKL5遺伝子機能を欠損させたマウスを作り、国内と海外の多くの共同研究者と協力して、遺伝子改変マウスの脳神経シナプス、けいれん、情動や記憶学習などの解析を行い、CDKL5欠損症の病態と治療法の解明に取り組みました。

CDKL5欠損症の病態機序の全容は未だ明らかではありませんが、確かに言えることは、CDKL5の働きが落ちると神経細胞同士がつながりあって出来た脳の神経回路の機能が特別に変わってしまうことです。

私は2023年より東京小児療育病院にて、てんかんを合併する重症心身障害と発達障害の患者様の医療と療育に当たり、そうした方々の脳神経回路の変化を見つけることに、国内外の共同研究者と共に取り組んでいます。

 

私はこれまで、難治てんかん・発達障害のお子さんからたくさんの大切なことを学ばせて頂きました。私がCDKL5欠損症の研究を続ける大きな原動力は、これほど重い病気を何とか治したいという思いと、CDKL5という極めて重要な遺伝子について命をかけて教えてくださったお子さんへの感謝の思いです。皆さんと一緒に、この病気の克服に向けて歩んで行きたいと思います。

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旭川医科大学小児科  

 高橋 悟先生

遺伝子の突然変異はすべての人に平等に生じる現象ですが、いつ・どこで生じるかはそれぞれの人によって異なります。CDKL5異常症は、精子あるいは卵子が形成される過程もしくは受精後の比較的早期の胎児期にX染色体上にあるCDKL5遺伝子に突然変異が生じることで発生します。

出生4〜6万人に一人の頻度で発生する稀な神経疾患です。日本での年間出生数はおよそ90万人ですから、毎年15〜20人の患者さんが新たにお生まれになっていると推定されます。

私は、遺伝子変異と臨床症状との関係、CDKL5異常症における脳内神経ネットワークの変化を調べる研究をしています。遺伝子変異によって生じる神経症状のメカニズムを理解して、治療法開発につなげたいと考えているからです。家族会の皆様には研究に協力して頂いており、この場をお借りして感謝を申し上げます。

 

私は、みなさんとの“つながり”ができたことを幸せに思っています。一人よりも二人、二人よりも三人の患者さんとお会いすることで、病気の理解が深まります。

そして、何よりもみなさまの夢をお聞きする機会に恵まれたことは、大きな力になっております。人と人との“つながり”には色々な関係がありますね。

同じ病気をもつ患者や家族との関係、患者と医者、医者と研究者、行政や製薬企業との関係もあります。もっともっとあると思います。皆が“つながる”ことで、一人でできないこともできる可能性が広がります。これからもよろしくお願いします。

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