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CDKL5遺伝子欠損症とは?(専門家からの詳細)
CDKL5という遺伝子は、早期乳児てんかん性脳症の原因遺伝子 として知られており、
この遺伝子に異常があると新生児から乳児の極めて早期にてんかん発作を発症すると言われています。
このCDKL5遺伝子を元に作られるCDKL5蛋白質は、通常、神経細胞の核、細胞質、神経突起、シナプスと、神経機能に重要な場所で働くため、この遺伝子に欠損があると、 シナプスの形成異常や神経伝達異常などの障害を引き起こすことが考えられています。
つまり、脳の発達のとても重要な部分が正常に働かないことで、 てんかん発作や重度の発達遅滞などの症状が現れるのです。
この病気は、女児が男児の4〜5倍多く見つかっていますが、その理由は、CDKL5遺伝子は性染色体であるX染色体に存在し、女性(性染色体の組み合わせがXX)では1本のX染色体上のCDKL5遺伝子が変異を起こしてももう1本のX染色体に正常CDKL5遺伝子があるのに対し、男性(性染色体の組み合わせがXY)では1本しかないX染色体上のCDKL5遺伝子が変異を起こすとバックアップがないため症状がより重く、胎内で死亡してしまう割合が多くなり、その結果出生男児症例は女児症例の4〜5分の1程度になると考えられています。
原因は?(専門家からの詳細)
人の遺伝子は、受胎の時点で両親からコピーされ、胎児期に全ての細胞に繰り返しコピーされ保存されていきますが、この過程でまれに突然変異と言って遺伝子の写し間違いが偶然起こることがあります。
CDKL5欠損症 (CDKL5遺伝子変異症) とは、CDKL5遺伝子が、お子さんの受胎から胎児期のどこかで突然変異を起こし、生後まもなくから発症するてんかん性脳症 (てんかん発作に引き続く神経発達障害) です。
約4万出生に1の発生率で、その病態と発症機序は未だ十分解明されていません。
けれども、最近の動きとしては、この難病の解決のため世界中の研究者が取り組み、今年WHOの国際疾病分類ICD-10で新しい疾病コードG40.42が割り当てられました。今後も研究がより発展していくと思われます。
CDKL5のてんかん発作の特徴は?(専門家の症例報告より)
CDKL5遺伝子欠損症(CDD)の初発てんかん発作は、スパズム83%、ミオクロニー発作33%、部分発作17%で部分作と全般発作の相互変化または併有がみられる。
経過は三段階からなり、
ステージ1(早期てんかん:発症1~10週)では、頻繁なけいれん発作を認めるものの、一方で発作間欠期脳波では正常のことが多い。
ステージ2(てんかん性脳症期)では、乳児スパズムを認め、脳波はヒプスアミリア(特異的なてんかん脳波)を呈する。
ステージ3では、過半数の症例で発作は減少ないし消失するとの報告がある一方、強直発作やミオクロニー発作を伴う多焦点性の部分発作が頻発し、難治性てんかんの像を呈することもある。その場合、発作の頻度は日単位で50回におよぶこともある。
いずれにしても、発作寛解期間は2か月程度で、いずれ再発すると言われている。
治療について(専門家の症例報告より)
一般に抗てんかん薬の多剤併用療法やACTH両方を行っても完全寛解は困難とされている。
一方、vigabatrin、TPM、ケトン食療法においては、発作抑制に有効とする報告もある。
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